Columns

 

第5回 「物を作る前に、人を作る!」  公益財団法人  松下社会科学振興財団・松下資料館     顧問  川越  森雄

 パナソニックグループの創業者で、生前、「経営の神様」とも言われた松下幸之助は、「物を作る前に人を作る」という信念で人材育成に力を注ぎ、たった三人で創業した零細な町工場を、世界的な電器メーカーに発展させました。
 「立派な人間でなければ、良い製品は作れない」という考えが、その根底にあったわけですが、では、立派な人間とは、どんな人を言うのでしょうか。それは、正しい物の見方、考え方ができる人のことです。
 では、正しい考え方とはどんな考え方なのでしょうか。それは、この社会をよりよく発展させ、人々に平和と幸せをもたらすことができるような考え方を持つ人です。
 そのためには、学問を通じての知識はもちろん大切ですが、志や使命感、願いや思い、そして感謝の心等、目に見えないが大切なものを育み、高めていく必要があります。
 「知識を与えるのは大事だが、その知識を使いこなす人間を育てることがもっと大事」という松下幸之助の言葉があります。いまの時代にこそ、その言葉の真意をかみしめたいものです。



第6回 「人生、学ぶことはすべて基礎にある。」 元広島大学 学長 広島大学名誉教授 医師 原田 康夫

 受験勉強の皆さんに与える言葉で大切なのは、英語、数学、その他の科目でも、基本公式、または基本パターンを毎日繰り返して覚え、使うことです。
 スポーツのあらゆる分野でも音楽、絵画などの芸術への道も、日々の練習の繰り返しが大切です。
 目標をもって、日々これに精進、継続すれば必ず自分の思う方向に近づくものです。
 最近は目の前の事柄がすさまじく変わり、自分が目指すことも変化するように見えるかもしれませんが、目標を正しく設定して、その方向にたゆまず進む努力を毎日してゆけば、必ず目標に近づくものです。
 やがて毎日繰り返すことも好きになり、情熱が持てれば必ず目標を成就できます。
  その上、専門だけでなく、大学での教養教育を楽しく勉強し、広い視野の人間になるよう、語学、哲学、文学、歴史など好きなものを探しておくと、人生いかなるときにも、心を自由に持ち、たのしく豊かに生きれるものです。
  自分にゆとりがないと、人のためにも働けません。家族のため、人のため、社会のため、国のためにも尽くすことのできる人は、人生の後半を豊かに生きることが出来ます。

略歴:公益財団法人広島大学教育研究支援財団代表理事 広島大学同窓会会長 広島大学校友会顧問(兼)副会長 
         在広島イタリア国名誉領事 広島日伊協会会長 広島大学名誉教授 日本予防医学会名誉理事長