Columns

 

第3回  「学ぶこと、人生を生きること。」 公務員 伊東 直人

皆さんは、「星の王子様」という本を読んだことがありますでしょうか。「一番大切なものは目には見えない」という台詞が有名な、小さな王子様の物語です。私は小さい頃に読んだこの本が今でも大好きです。
 この本の作家はサンテグジュペリというフランスの方なので、誰かが日本語に翻訳したものを読むことになります。ですが、同じ物語でも、訳した人によって雰囲気はずいぶん変わります。訳した人たちは、それぞれの精一杯の言葉で、この物語の暖かさを日本に伝えようとされたのだと思います。
 勉強するということは、このように誰かに何かを伝える力を養うことだ、と思います。決して自分のためだけではありません。人は誰しも、世の中のいろんなことを、両親や先生に分かりやすく訳してもらって理解し成長します。教えてもらっている側の人たちも、すぐに伝えていく側になります。そのときに自分の言葉で話せるよう、今のうちにしっかり勉強しておきましょう。
               

第4回  「教育投資と戦略思考」 広島大学教授 井上 善海

 大学へ進学するということは、学費だけでも4年間で数百万円の費用が必要です。それだけ投資して何を得られるのか、その投資目的を明確にしておかないと単なる無駄遣いに終わります。
 目的とは“何のために”という質問に答えることです。投資のリターンはお金だけではありません。良い大学へ入って良い企業に就職するためでしょうか。就職とは“職に就く”ということですから、良い企業に入りたいのは“就社”であって就職ではありません。医師になりたいから医学部へ進学する、これは明確な目的ですし、医師職に就くという投資リターンも目に見えます。しかし、文科系の学部への進学の場合はどうでしょう。とりあえず潰しが利くでは目的が明確でないし、投資リターンも見えません。
 3+3=6ではなく、6という答えを出すためにはどのような式が最適かを考える。戦略思考とは、答え(どうなりたいのか)を考えて式(どのようにすれば良いか)を考える思考方法です。
 さあ、あなたは社会に出て何をしたいのでしょう。どうなりたいのでしょう。答えを持っていますか。